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勉強お役立ちコラム

2021.03.17

【令和3年度】香川県公立高校入試の傾向を分析してみた!

 

どの教科にも問題に新しい傾向が

 3/9(火)、香川県公立高校入試の学力検査が実施されました。 翌日の新聞各紙に問題と模範解答が掲載されたわけですが、受験生のみなさんは自己採点、してみましたか?

 

今年の入試は例年と比較して、問題の構成や得点配分などについては大きく変化された部分はありませんでした。しかし、どの教科にも直近の数年間にはなかった出題、いわゆる“新傾向問題”が見られます。

 

2021年度は中学校の学習指導要領が改訂され、それにともなって教科書も新しくなります。今年の入試は、来年に向けての布石ともとれる要素がたくさんありました。特に大事だと思われるところをピックアップして見ていきましょう。

 

 

■国語

「文学的文章」「説明的文章」「古文」「作文」という大問4つの構成は例年どおりです。今回注目すべき箇所は「作文」と「古文」だと思います。

 

作文のテーマ自体は、最近の「若者言葉」についてどのように考えるかを書くもので、文字数も例年と変わらず250字程度でした。何が変わったかというと、まず「花子さん」の意見(若者言葉に対して肯定的な意見)があり、それを踏まえたうえで自身の意見を述べるという形式になっていることです。若者言葉に対しての立場は肯定的でも否定的でもよいようですが、すでに出された意見に対して自分はどう思うかを問われているので、書き方を少し考える必要があります。

 

古文の文章量そのものはそれほどではなく、例年と変わらない程度だったのですが、(五)に先生と生徒の“対話”があり、その空欄を埋める選択肢を答えるというのが、これまであまり見たことのないタイプの問題でした。登場人物である「小松内府」こと平重盛は、穏やかで情に厚い人物であったと伝えられており(注1)、そのような古典文学の歴史的背景についての知識も、これからの入試対策に求められるようになりそうです。

 

(注1)平重盛の父、平清盛と後白河法皇の対立が決定的なものとなったとき、父親に挙兵を思いとどまるよう説得した重盛の有名なセリフをご紹介しておきます。 「忠ならむと欲すれば孝ならず。孝ならむと欲すれば忠ならず。重盛の進退ここにきわまれり」 主君への忠誠を示そうとするおこないが親不孝となってしまうし、親孝行であろうとすると主君の恩にむくいることができないという、板挟みの気持ちを表しています。

 

 

■数学

問題1の基本計算系が7問、問題2(3)と問題5(2)がやたら難しいという構成はこれまでと変わりありません。 今年の入試の数学で私たちが目をむいたのは、問題4の問題文の“量”です。 問題4は(1)、(2)の2問ありましたが、どちらも前提となる部分の説明そのものが長く、(2)はそれぞれの小問の問題文までもが長いというありさまでした。今後の対策としては、長めの設問文を読み慣れておくのが効果的だと思います。解答にかかる時間が短縮できますし、問題文を読んでいるうちに問われていることがわからなくなったりするのも防げるはずです。

 

 

■社会

大問が3つで構成されており、それぞれの配点が公民15点、歴史18点、地理17点であることも、例年どおりでした。 社会科は全体的に例年から大きく変更になった点は見受けられませんでした。ただし、問題文の量は年々増加傾向にありますし、表やグラフを読み取って答える問題も、ここ数年で徐々に増えてきています。 小問は全部で47問あります。試験時間が50分ですから、1問にかけられる時間はかなり限られるわけですけれど、香川県の社会科の特徴として、掲載されている写真資料や設問文の大半が、実は解答に直接関係するものではなく、読み飛ばしても答えられるということがよくあります。正直に全部の資料・設問文に目をとおしていたら、終わるものも終わらなくなりますから、過去問などを利用して実践慣れをしておくと良いでしょう。

 

 

■英語

問題1がリスニング、問題2が会話文読解、問題3と4が長文読解、問題5が英作文となっており、例年どおりの構成です。 問題3の長文が例年に比べて長めの印象を受けますが、そこは誤差の範囲と見てよいでしょう。

 

今年の目玉は英作文です。 ここ数年の英作文は、日本の伝統文化に関する項目3つのなかから1つを選び、それについて記述するというものでした。ところが今年はまったく毛色の異なる出題となっています。 「世の中の情報を得る手段として、新聞とインターネットのどちらがよいか」という自身の意見を表明する型の作文です。

 

自分の意見を述べるタイプの英作文自体は課題としてよくあるので、香川県の入試で直近の数年全国的に見て珍しい種類の問題というわけではありません。ただ、問題なのは書かなければならない単語と文の数です。 求められているのは、1文5語以上で4文なのですが、書き出しが「I think getting information from 〇〇 is better.」で指定されており、それを除いての4文なので、書き慣れていないとかなり難しかったのではないかと思われます。 やはり英語においても「実戦慣れ」はとても大切になってくると思います。

 

 

■理科

全部で4つの大問があり、地学・生物・化学・物理からそれぞれ、2~3ジャンルの出題であるのは例年どおりです。 出題の傾向は例年と大きく変わりませんでしたし、いわゆる“新傾向”と言われるような問題もとくに見当たりませんでした。

 

ただし、気をつけないといけないのは“設問文の長さ”です。 香川県の理科は、そのほとんどが1点問題です。今年は2点問題が4問に1点問題が42問、あわせて46問でした。社会科と違って、観察の記録や実験の結果、前提条件などを読み飛ばすことができないので、とにかく処理に時間がかかります。しかも、後半の化学や物理のほうが設問の文章量が多いので、慣れていないと最後まで行きつくことすらできないかもしれません。 これについても事前に過去問などで練習を重ねることで、すぐに答えられる問題と、解くのに時間がかかりそうな問題との選別ができるようになっていると、入試本番、落ち着いて問題に取り組むことができるかもしれません。

 

 

■まとめ

今年の入試は、これまでの形式を守りつつ、他県で導入されてきているような問題がちらほら出始めています。 来年度、教科書が変わると、また新たな傾向の入試となるでしょう。 ベスト個別学院では、これからも生徒・保護者のみなさまのお役に立てるよう、地域の受験について研究を重ね、最新の情報を発信できるよう努めてまいります!