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勉強お役立ちコラム

2019.08.27

読書感想文の書き方 〜書く前の準備〜【前編】

 

 

 

読書感想文。聞くだけで身の毛もよだつという方もいるでしょう。筆者もその一人です。今でこそ、こうしてつらつらとコラムを書かせてもらっていますが、宿題として義務で書かなければならない作文は、もう見るのもイヤです。

 

本を読むのにも時間を取られるし、読んだとしても何を書いたらいいのかわからない。しかし、頭を抱えて白紙の原稿用紙を眺めていても仕方がありません。今回は、読書感想文に特化して、その書き方の「型」をご伝授しましょう。主にフィクションを選んだ場合についてお話しします。

 

※なるべく本を読まずに読書感想文を書こうと企んでいる方に向けてのお話ではありませんので、悪しからず。

 

■読書感想文とは何か (求められていることは何か)
読書感想文は、自分で選んだ図書やあらかじめ指定された課題図書を読んで、その作品に対する感想を一定の文字数以上で書き表わす課題です。

 

「感想文」というくらいですから、求められているのは「感想」なわけですけれど、感想と言ってもただひと言「おもしろかった」だけでは原稿用紙が依然として白紙のままですから、この「おもしろかった」を細かく分解していく必要があります。

 

ヒントとなるのは文の基本、「5W1H」です。「誰が」書いた作品なのか。作者がその作品内で伝えたかったことは「何か(主題、テーマ)」。「どこで」感動したのか、「なぜ」感動したのか、「どのように」思ったのかなど、自分がどうしておもしろいと感じたのかを分析してみましょう。本の内容と、それに対する感想を、先に挙げたように項目に分けて書き出してみるだけで、読み手に伝わりやすくなりますし、実は相当の分量にもなります。

 

そんなに細かく書けない? いえいえ、そんなはずはありません。人は自分の好きなことについて話すとなると、自然と言葉が湧いてくるもの。TwitterやFacebook、InstagramのようなSNSツールやブログ、ネット掲示板などのインターネット空間は、食レポや映画批評や本の感想など、無数の主張で溢れ返っています。みんな言いたいことは山ほどあるのです。書く場所が原稿用紙になったからと言って、書けないなんてことはないのです。

 

■題材を見つける (何を読むか)

では、どのようにして題材を見つけるのか。これにもいくつかコツがありますので、ご紹介しましょう。

 

▶︎課題図書
問題は、自分にとって「おもしろい」本をどこから、またはどうやって探し出せばよいか、ということです。こういうとき「課題図書」があると、自分で探す手間が省けて非常に楽です。ただ、課題図書は基本的に学校や教育委員会が生徒に読ませたいと思っている本ですから、その内容は往々にして道徳的な要素が強く、お説教されているようで正直なところおもしろくないものが多いです(例外もありますが)。それに、なんだか感想を押し付けられるような感じがして、筆者個人としてはあまり好きではないのですけれど。

 

▶︎受賞作品
世の中には、すぐれた文学作品に対して贈られる文学賞があります。有名なものに、文芸春秋の実施している「芥川賞(純文学)」「直木賞(大衆文学)」があります。純文学は中学生だとまだ難解な表現が多いと思いますが、高校生ぐらいならば挑戦してみてもいいかもしれません。読みやすいのは断然、大衆文学に分類される推理小説やSF、時代小説などだと思いますが。他には「本屋大賞」というものもあります。文学賞の多くは、芥川賞・直木賞のように主催者が出版社だったり、選考委員が作家・文学者だったりするのですが、本屋大賞は2004年から始まった「新刊を扱う書店の書店員が選ぶ」賞です。本屋さんが売りたいと思う本が上位に選ばれているので、より読者に近い目線で選考されていると考えてよいでしょう。

 

▶︎映像化作品
作品が賞を取ると、話題性もあってよく売れます。映画制作会社やテレビ局がその話題性に食いつき、ドラマ化されたり映画化されたりします。これをメディアミックスと言います。まずは映画やドラマを見て、気に入ったら改めて原作本を読んでみるのも方法の一つです。ただし、近年のメディアミックスによる映像化は原作にマンガを使っている場合が多くなっているので、読書感想文の原作本を探すときは注意が必要です。

 

▶︎本屋さんに聞いてみる
「本屋大賞」が一般の書店員によって選ばれるように、書店員の中には本を愛してやまない人がたくさんいます。図書館司書の人も同様です。そんな人たちに「読書感想文を書くんですけど、オススメの本はありますか?」と問いかけてみましょう。きっと力になってくれるはずです。ただ、本屋さんは良かれと思って熱心に選んでくれるのですが、普段からあまり本を読まない人だと、いろんな本を勧めてくれた挙句、結局迷子になってしまうという可能性もありますが。

 

いかがでしたか? 今回は読書感想文に取り掛かる前の心構えや、題材の見つけ方についてお話ししました。後編では、具体的な書き方についてご紹介しますので、お楽しみに!

 

参考文献 数研出版『クリアカラー国語便覧』読書感想文の書き方・文章の構成