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勉強お役立ちコラム

2019.05.15

【香川県】平成31年度公立入試の結果分析と上位へのカギ

香川県教育委員会から、3月に実施された平成31年度入試の概評が公表されました。教育委員会へのリンクを付けておきましたので、ご確認ください。

平成31年度公立高等学校入学者選抜学力検査の概評

 

以下その内容を、ポイントをしぼってお話ししましょう。

 

■数値状況

今回の平均点は、得点率59.5%、5教科総合で148.7点となっており、昨年よりさらに高くなりました。合計点の平均は、3年前の平成28年度から一貫して上昇しており、この辺りで歯止めがかかるかと思われた予想が覆される結果となりました。

 

理科の平均点は総じて低下傾向にあったのですが、高めの年と低めの年が交互に来ていて、今年は平年より高めの年となりました。

 

過去3年、上昇傾向にあった数学・社会・英語が、今回それぞれ平均点を下げており、どことなくですが、合計点の上昇を食い止めようとする問題作成者側の意図を感じます。一方で、国語は4年連続で平均点が上昇しており、特に今回は過去10年で最も高くなっています。そのため、結果として合計点は下がるどころか、近年ないほど高くなりました。

 

得点の分布は180~200点の層にピークがあると報告されており、こういったことから、点数が取れる生徒と取れない生徒との間で、二極化が一層顕著になってきていると考えられます。

 

 

■上位へのカギは「論述問題」

各教科の概評に書かれていますが、とくに国語や理科において、「理由を説明できていない」や「説明が不充分」と評されています。社会でも論述問題は「期待した正答率を下回った」とあり、これらのことから近年の子どもたちに不足している力がわかります。すなわち、「表現力」です。

基本の計算問題はできる。基本の語句も覚えている。漢字も書ける。問題文から答えの箇所を抜き出すこともできる。でもそれらは多分、どの受験生もできているのです。ならば、どこで点数の差がついているのか。数学の超難問でしょうか。英語の長文問題でしょうか。どれも違います。香川県公立入試で高得点層に食い込むために必要なのは、国語の作文も含めた各教科の「論述問題でどれだけ正答できているか」なのです。実際、論述問題は多くの場合で配点が2点なので、これができるかどうかの差は大きいでしょう。

では、表現力を向上させるにはどうすればよいのか。表現力とは、語彙(ごい)力です。ボキャブラリーとも言います。言葉をたくさん知っていれば、それだけ表現方法は多彩になります。人は何かを言い表すとき、自分の知らない言葉で説明することはできません。筆者は今こうしてコラムを書いていますが、この文面も、自分自身が過去にどこかで見たり聞いたりして知っている言葉の連続です。なおかつそれは、生まれてから今に至るまでに見聞きしたものの蓄積であるので、一朝一夕にどうこうできるものではありません。「作文力」向上のためには、楽器の練習や野球の素振りと同じように絶えずやり続けて、数をこなさなければなりません

 

 

■論述問題の「型」

しかし、こと入試の論述問題に限っては、そのようなある種の人生経験みたいなものは必要ありません。いきなり大量の本を読む必要もありません。すなわち、論述問題の解答には様々な「型」があり、それをどれだけ覚えているかが重要です。たとえばこんな例があります。  

 

問:炭酸水素ナトリウムの熱分解実験において、加熱をやめる前に、ガラス管の先を石灰水の中から取り出しておくのはなぜか。  

 

答:石灰水が試験官に逆流して、試験官が割れるのを防ぐため。 他には、社会科だと次のような問題も代表的です。  

 

 

問:平安時代に藤原氏が政治の実権をにぎることができた理由を説明しなさい。  

 

答:(例)自分の娘を天皇にとつがせ、その子を次の天皇に立て、天皇が幼いときは摂政、成長してからは関白となることで、政治の実権をにぎった。

 

 

設問とその解答が固定的である好例です。いかにたくさんの問題を経験したことがあるか、つまりは問題と解答のパターンを、計算問題や英単語と同じように次々に暗記することに行きつきます。高得点が取れる生徒さんというのは、これらをこなしている量が圧倒的に多いのです。それだけ努力をしているということです。 そして、そのようにたくさんの問題に触れようと思ったら、膨大な時間がかかります。しかし幸いにも、今は春。入試まであと300日ちょっとですが、「まだ」300日あります。このコラムを読んで、少しでも焦りを感じたならば、今日から始めましょう。今からやれば、きっと大丈夫。応援しています。