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勉強お役立ちコラム

2018.10.10

香川県公立入試の基礎知識〜今はもうない傾斜配点〜

今回は、すでになくなった制度についてのお話です。

 

「傾斜配点」という制度をご存知でしょうか。高校が指定した、あるいは自分で選択した科目の点数を何倍かして、合計点に加算する制度です。

 

筆者の母校でも当時、学科によって傾斜配点が適用されました。理数科は数学ともう1教科、国際類型が英語ともう1教科でした。指定教科以外のもう一つは選択制で、筆者は国際類型を受験する際、英語と社会を選択しました。指定した教科の得点が1.5倍され、通常であれば50点×5教科で250点満点のところを、傾斜配点の場合は300点満点となる仕組みです。

 

かつては香川県の公立高校入試においてごく一般的な制度だったのですが、筆者が塾講師の仕事を始めた5、6年ほど前にはすでに数えられるほどに減っており、平成29年度入試では石田・三木・飯山・笠田の4校のみ、今春の平成30年度入試ではついに実施校がゼロとなりました。今この記事を書いている10月初頭の時点では、まだ今年度の入試実施細目が香川県教育委員会から公表されていないために予測となりますが、これは今後も変わらないでしょう。

 

傾斜配点があれば、たとえ苦手教科の点数が伸び悩んでも、得意な教科で形勢逆転を図ることができました。裏を返せば、得意教科だけをどんどん伸ばして絶対の自信をつけておきさえすれば、苦手教科はある程度放置してしまっても、それなりの合計点が獲得できた、ということです。それがどういう事態を招いたか、もう少し具体的な例を挙げて説明しましょう。

 

石田高校では、理科が傾斜配点で1.5倍、合計275点満点で競うようになっていました(平成29年度入試まで)。指定教科の理科だけは何としても点数を確保させようと、学校側も塾の先生も躍起になります。また、入試で点数が確保しやすいのは総じて国語・理科・社会ですから、英語と数学はあと回し、場合によっては「この際、捨ててもいい」という指導をする先生もいるかもしれません。ボーダーラインに達することだけを考えるなら、このような乱暴な方法も取りうるのです。

 

しかし、その結果どういうことが起こるでしょう。いくら実業系の高校だからといって、英語と数学がまったく実施されないなどということはあり得ません。ところが、中学最後の3、4か月、英語と数学にほとんど触れずに過ごしてしまった生徒さんは、もはや手の施しようがないくらいに英・数の基礎学力が不足し、高校で単位取得が危ぶまれる、下手すりゃ留年、などという事態に陥るのです。偏差値が低めの高校では充分起こり得る事例です。

 

高校側も好き好んで生徒を留年させたいわけではないのですが、かと言って中学内容を一から教える余裕もありません。例に挙げた石田高校ほど極端ではないにせよ、傾斜配点が導入されていた高校では多かれ少なかれ学力の低下が徐々に問題視されるようになります。香川県の中3生の大多数が、何をおいてもまずは公立高校を目指す背景には、一定水準以上の学力への信頼があります。その維持のために香川県教育委員会が動いたと考えるのは、ごく自然なことです。

 

ともあれ、香川県の公立入試において、傾斜配点はもはや過去の遺物となりました。入試は平等に5教科での勝負。受験生の皆さんは、どの教科にも手を抜くことがないよう、残り5か月を有意義に過ごしてください。