お問い合わせ専用ダイヤル

0120-690-016

[受付時間]AM10:00~PM8:00(土日祝対応可能)

勉強お役立ちコラム

2022.04.10

進化する学校教育、傾向と対策とは

突然ですが、みなさんは教科書の日があることをご存じでしょうか? 実は、4月10日がその日です。「4(よ)い10(と)しょ」=「良い図書」という意味がこめられているそうです。確かに、新学期が始まる4月は新しい教科書が手元に届いて、気持ちを新たに頑張ろうと思う時期ですよね。

 

教科書といえば、今年度の新高1生から高校生が使用する教科書が新しくなりました。新しい科目も新設されています。このコラムでは、高校の教科書が新しくなった経緯や、新しくできた科目についてお伝えします。小学生や中学生のみなさんにも役立つ情報がありますのでぜひ参考にしてください。

 

 

どうして変わったの?

 

みなさんが通っている学校の時間割や授業内容は「学習指導要領」をもとに決められています。そもそも「学習指導要領」とは、全国どこの学校でも一定の水準が保てるように文部科学省が定めている基準で、いわば学びの地図といったイメージです。

 

学習指導要領の中身は時代の変化を見据えて約10年に一度改訂されています。今の時代はグローバル化や情報化、技術革新など日々大きく変化しています。新しい時代を生き抜く力を身につけてもらうために、教科書が新しくなるというわけです。

 

 

具体的に何が変わるの?

 

今回の学習指導要領では、新しい教科書の内容を以下の3つの柱で再整理しました。

 

①知識及び技能

②思考力、判断力、表現力等

③学びに向かう力、人間性等

(文部科学省HP:高等学校学習指導要領の改訂のポイントより)

 

これまで以上に、主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)の実現に向けた授業が行われることになります。実際に、新しい教科書では主体的な学びを促す内容が多く盛り込まれています。

 

ディスカッションやグループワークをする場面が増え、先生による一方通行型の授業から、生徒さんが主体となって学ぶ授業へ変わっていきます。

 

いわきアカデミア

 

新しくできた科目は?

 

①「地理総合」「歴史総合」

社会科の中に新しい2つの科目が誕生しました。「地理総合」は、持続可能な社会づくりを目指して、グローバルな視点で国際協力や国際理解について学び、地理的な視点から防災に関する課題を考えます。

 

どちらもこれからの時代に欠かせない課題です。「歴史総合」は日本史と世界史の近現代史を統合した科目です。明治以降の時代の動きを、日本だけではなく世界の動きとともに学びます。

 

 

②「公共」

もう一つ、社会科で注目すべきは「公共」です。初めて聞いたという方もいるかもしれません。多くの高校では1年生で履修します。近年、選挙権年齢が18歳以上に変わり、今年の4月からは成人年齢も18歳に引き下げられました。高校生にとっては政治に参加することや社会と関わることがより身近になりました。

 

「公共」は生徒さん自身が未来の担い手であるという意識を持つ場でもあり、望ましい社会のあり方をみんなで考える場にもなります。理想的な社会を考える1つの材料として「トロッコ問題(※)」を載せている教科書もあります。

 

※トロッコ問題…線路上を走るトロッコが暴走し、このままではそれに気づいていない作業員5人をはねてしまいます。しかし、あなたが目の前にある切り替え機を操作すればトロッコを別の線路に入れることができます。ところが、何と別の線路の先にも1人の作業員がいます。このとき、あなたは切り替え機を操作しますか?

 

 

③「情報」

高校では、英語や数学のように情報という教科があります。すでに小学校や中学校の技術科、または塾等でプログラミングに触れる機会があり、身近に感じている方も多いと思います。

 

高校では今年度から「情報Ⅰ」が新設され、プログラミングの他にもネットワークに関するモラルやデータベースの基礎を学習します。今後、大学入試共通テストでの出題が予定されている重要な科目です。

 

今のお子さんはデジタルネイティブ世代と言われており、一人一台のスマホが当たり前になりました。その分、周りにはたくさんの情報があふれています。この科目を通して、正しく適切な情報を選び抜く力を養い、情報技術の適切な活用法を学びます。

 

イラスト, インターネット, ウェブサイト, エレクトロニクス, コーディング, コード, コミュニケーション, コンセプト, コンピューター,  スクリプト, ソースコード, ソフトウェア, データ, テキスト, ネット, ビジネス, ファイナンス, プログラマー, プログラミング ...

 

番外編「〇〇探究」

今回の改訂では、古典探究、地理探究、世界史探究、理数探究…と、さまざまな教科で「探究」という名が入る科目が新設されています。それぞれの教科書には学習を進める上で必要な「探究」の手順が掲載されており、生徒さん自らが課題を決めて、データを収集したりインタビューしたりしながらレポートにまとめる手法も紹介されています。 

 

地理探究の授業内容の例として「なぜカナダの道路標識には複数の言語が使われているのだろうか」という問いがありました。おそらく答えは1つではないでしょう。身近な事例を題材にして環境や歴史的背景を学習するのはとても興味深いと思います。

 

 

小中学生のうちに準備しておきたいことは?

 

新しい高校の教科書では、小中学校で養われる「問題を解決する力」や「探究する力」をベースに学習が進みます。主体的に取り組む姿勢は今のうちから身につけておきたいですね。

 

何かしらの疑問や興味があれば、それをきっかけとして自ら考えて行動できるようになり、主体的に取り組めるようにもなります。ある化学の教科書では「凍らせたスポーツドリンクのとけ始めが甘いのはなぜか?」といった、誰もが一度は疑問に感じたことを取り上げて勉強が始まっています。

 

教科の勉強以外でも、お子様が「なぜ?」「どうして?」と疑問や興味を抱いた瞬間を、ぜひ大切にしてあげていただければと思います。