「東の 野にかぎろひの 立つ見えて かへり見すれば 月かたぶきぬ」
こちらの和歌を耳にしたことはありますか。
この歌の作者は柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)です。
現代語訳をすると、
「東方の野に日の出前の光が射し始めるのが見えて、後ろを振り返って(西の方角を)見てみると、月が傾いていた。」
となり、宮廷歌人であった柿本人麻呂が軽皇子を称えて詠んだ歌です。

太陽と月が同時にある空を詠んだ、スケールの大きな歌であることがわかります。
1理科-和歌×科学の融合問題
たった31文字の中に当時の情景や想いが鮮やかに描かれていますが、実はこの和歌を「科学的な視点」で見てみると、当時の月の位置や形までがわかるのです。
そしてなんと、この問題が今年度の栃木県の理科の入試で出題されました。
和歌が詠まれた季節が冬であることから、太陽に対しての地球と月の位置、月の形を推測して答える問題でした。
和歌に詠まれた情景を読み解くことで、当時の太陽・地球・月の位置関係や、見えていた月の形までが科学的に特定できるという非常に美しい良問です。
初めに理科の入試について、ご紹介いたしましたが、このように栃木県の入試は他教科との融合問題がほかにも見られました。
2数学-日常生活×理科がテーマ
栃木県の数学は日常生活×理科をテーマに出題されることが多いです。
今年は、栃木県内6地点の気象観測データをもとにした問題や、自動車の制動距離を求める問題などが出題されました。
気象観測と聞くと理科のイメージが強いかもしれません。
数学では箱ひげ図やヒストグラムを使って、栃木県内6地点の1~12月の観測データが表されました。
この箱ひげ図やヒストグラムは日常生活の中で、なかなか耳にすることはありません。
ですが、思考力・判断力・表現力が日々求められる中で、データを利用して読み解く力は、これからの社会でますます大切になってきそうですね。
3英語-ピクトグラムの歴史
英語では、トイレのマークやレストランのマークなど、日常生活でもよくみかけるピクトグラムが長文の題材として取り扱われました。
世界に大きく広まったきっかけは「1964年の東京オリンピック」でした。
では、なぜ広まったのでしょうか。
それを答える問題が1問目に出題されています。
当時、日本の案内標識はほとんどが日本語で書かれており、外国から来た人々がそれを理解できないという大きな問題がありました。
そこでデザイナーたちが「言語がわからなくても、だれでも一目でわかる絵」を考案したのが、ピクトグラムの始まりだったのです。
言語の壁を越えるためのデザインが東京オリンピックから始まったという、歴史的背景がわかる非常に興味深い内容でした。
4社会-このぶどうの産地はどこ??
スーパーに行くと、1年中食卓に欠かせない野菜や果物が並んでいますよね。
「それぞれ旬があるはずなのに、どうしていつもお店にあるんだろう?」と不思議に思ったことはありませんか。
これは、気候の違いを活かしたり、ハウス栽培を用いたりして、出荷の時期をズラす工夫がされているからです。
実は今年の栃木県の社会では、この「身近な食卓の疑問」から世界の地理を考える問題が出題されました。
図から日本とチリのぶどうの出荷時期の違いを読み取り、チリの国土の広がりを踏まえて理由を考えさせる問題です。
なぜ日本のスーパーにチリ産のぶどうがたくさん並ぶのか?
それは、チリが南半球に位置していて日本と季節が逆であること、さらに南北に非常に長い国土を持つため、国内で気候の違う地域を利用して長期間にわたって栽培できるからです。
社会というと「国名や特産品の暗記」と思われがちですが、入試問題が求めているのは、目の前の「なぜ?」を世界の気候や地形と結びつけて考える力なんですね。
こんな風に入試に直結していると知ると、日頃何気なくカゴに入れている野菜や果物への関心の持ち方も少し変わってきそうです。
5まとめ
栃木県の入試はいかがだったでしょうか。
和歌と科学の融合、気象観測、ピクトグラムの歴史や産地。
今年の栃木県の入試問題を見ていると、「ワクワクするような知的好奇心」が随所に散りばめられていました。
暗記のテクニックではなく、思考力・判断力・表現力といった「大人になってもずっと使う大切な力」を育てようとしている入試からのメッセージを、育てようとしているのかもしれません。
お子さんと一緒に、面白いなと感じた問題を味わってみてはいかがでしょうか。
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