広島県の入試問題を読んでいると教科書の外にある話題が、あちこちに顔を出していました。
英語、数学、理科、社会の4教科の中から、特に引き込まれた問題を紹介します。
1英語|「レモンはレモネードにすればいい」英語のことわざの奥深さを味わおう。
近年の国語の問題と同様に、単純な読解問題ではない傾向が伺える第3問をピックアップします。
英語のスピーチ原稿に加えて、それを元に感想を交換するエミリーとの対話を読解するため、優に500単語を超える分量でした。
正答率は設問によって差がありますが、レモンとレモネードの結びつきを英語で説明させる最後の設問は、とても難しい問題でした。
逆に長文を読み切る力をつけていれば、得点源にもなることでしょう。
エミリーが勇太に英語のことわざを紹介するシーンが印象的です。(決して難しい単語や文法は用いられていないので安心して読んでみてください。)
If you have lemons, make lemonade.
(レモンを手に入れたら、レモネードをつくりなさい)
勇太が、どういう意味?と聞くと、エミリーは返します。
Lemons are sour, but we can make sweet lemonade with lemons, sugar, and water.
(レモンは酸っぱいけど、水と砂糖とレモンで甘いレモネードが作ることができる)
つまり、苦しいことでもポジティブに捉えて楽しいものに変えていこうという意味が込められています。
設問を確認しましょう。
前半のスピーチの原稿における勇太の怪我がレモンとするならば、レモネードは何に該当するか英語で表現する設問です。
正答率が6.3%、無答率が38.2%と、この大問の中でも際立って低い数字でした。
自分にとっての『レモン』は何か、そこからどんな『レモネード』を作れそうか?そんな視点で読んでみると、入試の英文も少し違って見えてくるかもしれません。
時間のある時で良いので、全文をしっかりと1つずつ読んでみてはいかがでしょうか。
2数学|数えなくても数えたことになる魔法のような方法があります。
定番の問題ですが、小問集合の第1問をピックアップします。
何個あるかわからない大量の白玉を50個取り出して、印をつけて戻します。
再度80個取り出すと、印をつけた白玉は10個でした。
総数不明の白玉の数は一体いくつだったのでしょうか?
取り出した数80個は目印をつけた数10の8倍です。
総数は目印をつけたもの50個の8倍になっているはずと推測されるので、答えはおよそ400個となります。
これは、池の魚の数を調査するために用いられている手法でもあります。
池の魚を全数捕獲するのは大変なコストがかかってしまうために用いられる手法(※)です。
目立たない問題ですが、実社会でも数学が有用であることが背景の問題となっています。
数えきれないものを推測したい場合に試してみるといいかもしれませんね。
※「標識再捕獲法(ひょうしきさいほかくほう)」と呼ばれているそうです。
3理科|定番のお掃除テクニックに用いる混合物が題材でした。
炭酸水素ナトリウムとクエン酸の混合物に関する化学分野の問題です。
炭酸水素ナトリウムは「重曹」という別名があります。
重曹とクエン酸と言えば、ご家庭でも馴染みのある組み合わせではないでしょうか?
そう、重曹にクエン酸を混ぜることでシュワシュワと発泡します。
この泡の正体は二酸化炭素です。泡が汚れを浮かすため、お掃除でも大活躍する混合物ですね。
発生する気体を集めて、石灰水が「白くにごる」ことを回答させる問題の正答率は、正答率92.6%と非常に高い結果となりました。
一方で、最後の計算問題は正答率はかなり低く、正答率6.8%となりました。
重曹とクエン酸の化学反応自体は、中学校理科で例として扱われることの少ない化学反応です。
反応する質量比を丁寧に読み解く読解力が求められているためだと推測できます。
お菓子づくりを想定すると良いかもしれません。
比較的シビアな分量を求められます。
本問題で量のシビアさも、似たような感覚だと言えますね。
また、詳しい解説が知りたい方は以下もご一読ください。
詳しい解説が欲しい人向け
クエン酸の量が同じなので、炭酸水素ナトリウムの量を増やしたところで、発生している二酸化炭素は1.4gで頭打ちとなります。
グラフをよく見ると、比例している部分(炭酸水素ナトリウム1.0g→二酸化炭素0.5g、2.0g→1.0g)から、炭酸水素ナトリウム1gあたり二酸化炭素0.5gが発生する関係が読み取れます。
この関係をそのまま延ばすと、二酸化炭素が頭打ちになる1.4gに達するのは、炭酸水素ナトリウムが2.8gのときだと分かります。
つまり、クエン酸をちょうど使い切るのは2.8gのタイミングで、3.0g使った実験ではそのうち0.2g(3.0−2.8)が反応せずに余っていたことになります。
上記のことに、気づけるかどうかが、本問題の最重要ポイントです。求める答えは2.8×0.76=2.128(g)、四捨五入して2.1(g)となります。
4社会|チョコレートの値上げから見える世界がある。
社会は暗記科目だと思われがちです。
ですが大問4は、知識の量よりも、日常のニュースを世界規模の課題につなげて考える出題でした。
「最近チョコレートが値上がりした」という身近な話題から始まり、なぜ値上がりしているのかを、エネルギー資源の輸入構造、大西洋三角貿易の歴史、気候変動によるカカオ栽培適地の変化、カカオ生産国の貧困と識字率の問題という4つの視点から掘り下げていきます。
日常生活で見かけるチョコレートの背後に、社会的な見方をいつも意識することは少し息苦しさがあるかもしれません。
しかし、何事も社会的な見方で自分なりの考えや意見を持っておくことは、中学生から高校生、さらには社会人に至るまでとても大切な力だと気づかせてくれる問題でしたね。
スーパーでチョコレートの値段が上がっているのを見かけたら、その裏にある気候変動や貧困の問題まで想像してみる——値札の数字一つが、世界とつながる入り口になります。
5入試問題を見つめ直して見えてくる景色を味わおう
いかがでしたか?
広島県の入試問題も、改めて現実世界を見つめ直すきっかけや新しい発見を促してくれる問題だったように思います。
入試問題を解くだけではなく、ぜひ味わってみましょう。
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