埼玉県熊谷市は、全国的にも「西の花園(大阪)、東の熊谷」と並び称されるほど、非常に有名な「ラグビーの町(ラグビータウン)」です。
現在は「日本一ラグビーで熱い街」として、全国のファンから認知されています。今回は熊谷市とラグビーの関係についてお話ししたいと思います。
1 1.熊谷とラグビー
①熊谷でラグビーが人気の理由
1967年の埼玉国体(国民体育大会)の際、埼玉県はラグビーの「教員の部」を強化するため、大学トップレベルで活躍していた選手を体育教師などとして次々と採用しました。
彼らが熊谷を中心に指導を行ったことで、地域全体にラグビーの裾野が一気に広がりました。
また、地元の熊谷工業高校(当時は熊谷商工高校)ラグビー部が全国大会で目覚ましい活躍を見せたことも、市民のラグビー熱を決定づけました。
②「聖地」としてのスタジアム建設(1991年)
1991年、熊谷市は総合振興計画の中で正式に「ラグビータウン熊谷」を表明。
これに合わせる形で、埼玉県によって「秩父宮(東京)」や「花園(大阪)」に比肩するラグビー専用競技場として、初代の熊谷ラグビー場が建設されました。
③ワールドカップ2019による巨大化
2019年ラグビーワールドカップ(RWC)の開催地として名乗りを上げ、見事招致に成功。
世界基準を満たすために約124億円を投じた大規模な改修が行われ、約24,000席を誇る世界屈指のラグビー専用スタジアムへと生まれ変わりました。
22.なぜ熊谷のラグビー場が「あの場所」に建てられたのか?
最寄り駅(JR熊谷駅)から約3.5kmも離れた郊外の場所に建てられた理由は、土地の歴史とイベントの跡地利用が深く関係しています。
①「さいたま博覧会(1988年)」の跡地だった
スタジアムがあるエリアは、もともとは広大な水田地帯でした。
しかし、1988年に開催された地方博覧会「さいたま博覧会(さいたま博’88)」の会場として大規模に造成・整備されました。
また、博覧会終了後、その広大で平坦な土地を有効活用する形で、文化・スポーツ・レクリエーションの拠点となる「熊谷スポーツ文化公園」の整備計画がスタートしました。
②「ラグビー専用面」を複数作れる広さが必要だった
ラグビーの普及・強化のためには、メインの競技場だけでなく、一般や学生が日常的に使えるサブグラウンドの確保が不可欠でした。
元水田・博覧会跡地という都市部にはない潤沢な敷地があったからこそ、現在はメイン・東・西の計3面のラグビー場を集約して配置することが可能となりました。
③その後のメガイベントとプロチーム誘致への連動
この広大な敷地があったため、2004年の「彩の国まごころ国体」ではメイン会場となり、ドーム型体育館(彩の国くまがやドーム)なども増設されました。
近年では、その広さをさらに生かし、プロチーム「埼玉パナソニックワイルドナイツ」の本拠地・練習拠点(さくらオーバルフォート)をスタジアムに隣接して誘致することにも成功しています。
33.移動の課題と現在の工夫
熊谷スポーツ文化公園(ラグビー場)は、最寄り駅であるJR・秩父鉄道「熊谷駅」から約3.5km離れており、大規模試合の開催時には「いかに多くの観客をスムーズに輸送するか」が最大の課題となっています。
現在、行政・交通事業者・チームが連携し、以下のようなハード・ソフト両面での工夫が重ねられています。
①シャトルバスの超高頻度運行
試合開始前および終了後、熊谷駅北口とスタジアム間をノンストップで結ぶ臨時シャトルバスが大量投入されます。
ピーク時には数分間隔で運行され、ピストン輸送によって数万人規模の観客移動を支えています。
②「ラグビーロード」の整備と徒歩移動の推奨
駅からスタジアムへと続く約3.5kmのルートは「ラグビーロード」として整備されています。
街並みの演出としては、沿道にはチームカラーのバナーや、ラグビーをモチーフにした照明灯、案内マップが設置され、歩くだけで気分が高まる工夫が施されています。
また、試合日には沿道の飲食店がテイクアウト営業を行ったり、市民ボランティアによる道案内や歓迎イベントを実施といったおもてなしの工夫がなされており、「3.5kmを遠く感じさせない、楽しく歩ける環境づくり」が進められています。
③自家用車アクセスの分散とパーク&ライド
周辺道路の激しい渋滞を緩和するため、事前予約制駐車場の導入や、少し離れた場所に車を止めさせてバスで送迎する「パーク&ライド」の検証・実施が行われています。
熊谷市はこのような歴史とともにラグビー人気を高めてきました。
ラグビー場のある熊谷スポーツ文化公園の全体の広さは約88.3ヘクタール、これは東京ドーム約19個分に相当する広さです。
公園の中にはラグビー場以外にも陸上競技場や熊谷ドーム(体育館や多目的運動場が入った大型ドーム)やソフトボール場、ジョギングコースや子供向け広場もあります。
市民の憩いの場としてもとても親しまれている巨大な公園です。
勉強の合間の気分転換として体を動かすために出かけてみるのもいいかもしれませんね。
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