現代の高校教育で、最も大きな変化を迎えているのが「総合的な探究の時間」です。
かつてのようにインターネットで調べたことを模造紙にまとめるだけの発表会は、もう過去のもの。
その最前線を走るのが、広島県立広島井口高等学校の独自プログラム「ACT-i(アクト・アイ)」です。
「自らの『探究活動』を語れる生徒の育成」をゴールに掲げ、3年間を通して「デザイン思考」をベースに実社会の課題解決に挑むこの取り組み。
一体何がそんなに面白いのか、その魅力に迫ります。
1そもそも「ACT-i」とは?
「ACT-i」は、単なる1コマの授業の名前ではありません。
授業、部活動、学校行事など、高校生活のあらゆる場面における「探究的な思考・行動」の総称です。
「ACT-i」の由来とコア
このプログラムは、「デザイン思考」で世界を創造するをテーマに掲げています。
ユーザー(誰か)の悩みに徹底的に共感し、課題を発見し、アイデアを形にして試行錯誤を繰り返す。
まさに社会人がビジネスで行うプロセスを、高校生が体当たりで実践しています。
2メディアも注目!思わず唸るユニークな探究テーマ
井口高校の探究活動がユニークなのは、「身近な『不便』や『問い』からスタートし、本当にアクション(解決策の実装)まで起こす」点です。
過去には、以下のような驚くほど具体的で実践的なプロジェクトが生まれています。
「すずしい教室プロジェクト」
「教室が暑くて勉強に集中できない!」という身近な悩みを科学的に分析。
TBSテレビ「THE TIME,」の全国中高生ニュースでも取り上げられ、大きな話題となりました。
「AIを使ってゴキブリのいる場所を予測する」
先端技術を身近(?)な問題解決に応用した、非常にユーモラスかつ実用的なアプローチです。
「子どもが正しく楽しく歯磨きができる絵本作り」
行動経済学やデザインの視点を取り入れ、実際に子どもたちの行動変容を促すアウトプットを作成。
ただの「お勉強」に留まらず、「自分たちの力で環境や他人の行動を変えられるんだ」という成功体験(自己効力感)を得られるのが、このプログラムの強みです。
また、高校のプログラムではありますが、その内容は大学の研究に近いものであります。
この活動を通して自身の興味のある分野に取り組み研究を行うことで、進学先などの自身の進路を考える機会にもなります。
3DXハイスクールとしての「ICT」の武装
「ACT-i」を支える強力なインフラとなっているのが、同校が指定を受けている「DX(デジタルトランスフォーメーション)ハイスクール」としての環境です。
データサイエンスの基礎となる情報・数学教育の強化はもちろん、3Dプリンターや高性能PC、ドローンといった最先端のICTデバイスが充実しています。
「こうすれば課題を解決できるかも」と思いついたアイデアを、テクノロジーを使ってすぐにプロトタイプ(試作品)にできる環境が、生徒たちの「ACT(行動)」をより強固なものにしています。
4これからの時代に求められる「語る力」
今の大学入試や就職活動、そして社会に出てから最も求められるのは、「私はこれに興味を持ち、こんな壁にぶつかり、こうやって乗り越えた」と、自分の言葉で語れることです。
広島井口高校の「ACT-i」は、そのためのエピソード(経験)を生徒自身の手で作り出すプラットフォームになっています。
「うちの子、スマホばかり触って……」と心配する保護者の皆さま。
いま、高校生たちはそのデジタルツールと「デザイン思考」を武器に、大人も驚くようなスピードで社会の課題を解決し始めています。
井口高校の挑戦は、これからの教育のあるべき姿を私たちに示してくれているのかもしれません。
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