中学3年に上がると、あっという間に進路の話が現実味を帯びてきます。
三者面談で「どこを志望しますか」と聞かれて、はじめて真剣に高校のことを調べ始めた、というご家庭も少なくないのではないでしょうか。
群馬県には、長い伝統を持つ県立高校もあれば、独自の校風や強みを打ち出す私立高校もあります。
どちらが「上」ということではなく、お子様の性格や目標との相性で選ぶものです。
このコラムでは、群馬県内の実在の高校を例に挙げながら、公立と私立の違いを保護者目線で整理してみます。
1まず押さえておきたい、いちばん大きな違い
公立(県立)と私立では、運営する主体が違います。
県立高校は群馬県が設置・運営し、私立高校は民間の学校法人が運営しています。
この一点が、入試の仕組み・学費・校風のすべてに影響してきます。
一言でまとめると、県立高校は「地域の標準を担う安定した教育」、私立高校は「学校ごとの個性で勝負する教育」と捉えると分かりやすいでしょう。
2学費 ── 2026年度から、ここが大きく変わりました
保護者として最初に気になるのは、やはり費用面の話だと思います。
ここは制度が近年大きく変わったので、最新の状況をきちんとお伝えします。
国の「高等学校等就学支援金制度」(いわゆる高校無償化)が段階的に拡充され、2026年度(令和8年4月)から所得制限が完全に撤廃されました。
これにより、世帯年収にかかわらず、公立・私立を問わず授業料が実質的に支援される形になっています。
公立高校:年額11万8,800円が上限で全世帯に支給。県立高校の授業料はこの範囲に収まるため、授業料の負担は実質ありません。
私立高校:2026年度から所得制限が撤廃され、私立高校の全国平均授業料に相当する年額45万7,000円を上限に支給されるようになりました。
つまり、「授業料」だけを見れば、公立・私立の差はかなり縮まったと言えます。
ただし、ここで安心しきってはいけません。支援の対象になるのは「授業料」であって、それ以外の費用は別です。
私立高校では入学金、施設設備費、制服やタブレット端末、修学旅行の積立、寄付金など、授業料以外にまとまった費用がかかることが多くあります。
県立高校でも教材費や部活動費はかかりますが、総額では私立のほうが負担が大きくなる傾向は残ります。
学費を比較するときは「授業料」だけでなく、入学時にかかる一時金と3年間トータルの諸経費まで含めて、各校の募集要項で必ず確認してください。
制度は今後も変わる可能性があるので、最終的には文部科学省や群馬県、各校の最新情報で裏取りすることをおすすめします。
3入試の仕組みの違い
県立高校は、群馬県全体で統一された入試日程・選抜方法で行われます。
2月中旬に学力検査があり、内申点(調査書)と学力検査のバランスで合否が決まります。
基本的に「第一志望は1校」という前提で組み立てることになります。
例えば、伝統校として知られる前橋高校や高崎高校、女子校の前橋女子高校・高崎女子高校、地域の進学校である太田高校や桐生高校などは、いずれも県立です。中高一貫の公立校としては中央中等教育学校もあります。
私立高校は、学校ごとに入試日程や選抜方法が異なります。
多くは県立より早い時期に入試があるため、「私立を先に受けて、合格を確保してから県立本命に臨む」という併願戦略が一般的です。
推薦入試の枠が手厚い学校も多く、内申点や部活動の実績を活かしやすいのも特徴です。
群馬の私立高校では、スポーツの強豪として全国に名前が知られる前橋育英高校(サッカー・野球どちらも全国優勝経験あり)や健大高崎高校(野球部が全国的に有名)、桐生第一高校(野球部が夏の甲子園で優勝経験あり)などがあります。
キリスト教系の落ち着いた校風で知られる新島学園高校(安中市)、共愛学園高校(前橋市)、大学附属の東京農業大学第二高校(高崎市、いわゆる農大二高)なども、それぞれ独自の魅力を持っています。
4校風・教育内容の違い
ここが、お子様との相性を測るうえで一番大切なところかもしれません。
県立高校は、比較的、生徒の自主性を重んじる傾向があります。
前橋高校や高崎高校のような伝統的な進学校は、面倒見が良いというより「自分で計画して学ぶ力」が求められるタイプです。
費用を抑えながら、しっかりした大学進学実績のある環境で同級生たちと切磋琢磨して学べるのが強みです。
私立高校は、学校ごとに明確な「色」があります。
・進学コースに特化して大学受験指導を手厚くする学校
・部活動に打ち込みたい子のための強豪校
・建学の精神(宗教的背景や教育理念)を大切にする学校
・大学附属で内部進学の道がある学校
このように、「うちの学校はこういう生徒を育てます」という方針がはっきりしているのが私立です。
お子様がやりたいこと(勉強、スポーツ、特定の進路)が定まっているなら、それに特化した私立が伸びしろを最大化してくれることもあります。
5お子様に合うのはどちら? ── 選び方のヒント
最後に、判断の手がかりになる視点をいくつか挙げておきます。
県立が向いていそうなお子様
・自分でペースを作って学ぶのが得意、または身につけたい
・費用面の負担をできるだけ抑えたい
・内申点とテストの点がバランス良く取れている
私立が向いていそうなお子様
・打ち込みたい部活動や、目指したい進路がはっきりしている
・面倒見の良い、手厚い指導環境のほうが力を発揮する
6おわりに
公立と私立、どちらにも良さがあります。
学費の差が以前より縮まった今、「校風」と「お子様の目標との相性」で選べる時代になってきました。
偏差値や知名度だけで決めるのではなく、ぜひ学校説明会やオープンスクールに足を運んで、お子様自身に校舎の空気を感じてもらってください。
「ここなら3年間通えそう」という直感は、案外あてになるものです。
お子様にとって一番良い選択ができますよう、私たち一同応援しています。
※学費・入試制度・各校の詳細は変更される場合があります。出願前に、群馬県教育委員会および各高校の最新の募集要項を必ずご確認ください。
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